「『無料公開 or 有料販売?』小説はどこで発表する?Web投稿からKDP・Kindle出版へつなぐガイド」

意外とカンタン♬電子書籍の出版「難しいと思ってたんでしょ!そんなコトないですヨ☺」その860~KDP(Kindle出版)、note、BOOTHどれがおすすめ?初心者が迷う電子書籍プラットフォームの選び方と注意点〜
はじめに
小説を書き上げたあとの高揚感、たまりませんよね。
でも、ふと悩みます。
「無料でたくさんの人に読んでほしい?」
それとも「有料販売で価値をしっかり伝えたい?」
アナタがここで迷うのは、自分の作品を大切に思っている証拠です。
実は、どちらか一方だけが正解ではありません。
「いつ、どのタイミングで、無料公開と有料の電子書籍販売をどう組み合わせるか」
これが、読者にとってもアナタにとってもうれしい結果を生むポイントになります。
このガイドは、とくに次のようなアナタに向けて書いています。
・Web小説サイトで活動しているけれど、KDPやBOOTHなどの個人出版・有料販売はまだ試したことがない人。
・一度Kindleで本を出してみたものの、思ったほど読まれず、「何が悪かったのだろう」とモヤモヤしている人。
・小説を書くのは大好きなのに、「自分の作品にお金をもらっていいのか」と迷ってしまい、有料化に踏み出せないでいる人。
アナタの作品には、まだ出会っていない読者がたくさんいます。
その読者たちに出会うためには、「無料で知ってもらう段階」と、「有料でじっくり読んでもらう段階」を、少しずつつなげていく発想が役に立ちます。
そして、小説を電子書籍として出版した先には、想像以上に明るい未来が待っています。
「著書を持つ作者として名乗れるようになる」
「自分の作品から小さくても『ロイヤリティ(収益)』が生まれる」
「世界のどこかでアナタの本を読んでいる人がいる」
そんなワクワクする景色を、一緒に見に行きませんか?
このガイドでは、noteやカクヨム、アルファポリスなどの無料投稿サイトから始めて、Amazon KDPやBOOTHでの有料販売につなげていく流れを、中学生でもスッと理解できるくらいかみ砕いて説明します。
難しい専門用語はできるだけ避け、アナタに語りかける形で、「今の一歩」と「出版後の未来像」の両方がイメージしやすくなるように心がけました。
アナタが、迷いや不安を抱えながらでも、ウキウキとした気持ちで前に進めるように、このガイドをそっと道しるべとして使ってください。
1 小説を無料公開にするか、Amazon KDPなどで有料販売にするか考える前に
小説を無料公開にするか、Kindleなどで有料販売にするかを決める前に、「アナタは今どこにいて、どこへ向かいたいのか」を一度立ち止まって考えてみましょう。
どれだけ丁寧に書かれた作品でも、そもそも存在を知られていなければ、読者は「読む・読まない」「買う・買わない」を選ぶスタートラインにすら立てません。
だからこそ、「無料」と「有料」をいきなり二択で考えるのではなく、「読者に見つけてもらう段階」と「お金を払ってでも読みたいと思ってもらう段階」に分けて考えることが、とても大切になってきます。
・無料公開は「知ってもらう」「試してもらう」ための入り口です。
アナタの小説の雰囲気や世界観を、読者が気軽にのぞける場をつくることで、「ちょっとだけ読んでみようかな」という小さな一歩を踏み出してもらいやすくなります。
お金がかからない安心感があるので、「合わなかったら途中でやめても大丈夫」と読者が肩の力を抜いてページを開ける点も、大きな強みです。
・有料販売(電子書籍化など)は「もっと深く読みたい」「応援したい」と感じてくれた読者に向けた次のステップです。
すでに無料部分で作品を楽しんでくれた人が、「続きがどうしても気になる」「この作者を支えたい」と思ったときに、自然と手を伸ばす場所が有料作品です。
だからこそ、有料部分には「無料では味わえない深さ」や「特別なおまけ」があると、読者は「買ってよかった」と心から感じられます。
・無料だけにすると、どれだけ続けても収益がほとんど生まれない可能性があります。
創作には時間もエネルギーもかかります。その負担をずっと自分一人で背負い続けるのは、正直なところ、とても大変ですよね。
少額でも「作品からお金が入る」状態があると、「また書こう」という気持ちを支える力になりますし、長く書き続けるための心の土台にもなっていきます。
・有料だけにすると、作品に触れてもらう入り口が狭くなりやすいです。
名前も知らない作者の有料小説を、いきなり買ってくれる人は多くありません。
まずは無料で作品の一部を読んでもらい、「この文体、好きかもしれない」「このキャラクター、気になる」と感じてもらったうえで、次のステップに進んでもらう流れをつくるほうが、読者にとっても優しい導線になります。
・「無料と有料は対立するもの」ではなく、「役割の違う二つのステージ」と考えると整理しやすくなります。
無料のステージは、「読者に見つけてもらう場所」であり、「アナタと読者の距離を近づける場所」です。
有料のステージは、「もっと深く入りたい読者」と向き合い、「お金という形での応援を受け取る場所」です。どちらも大切で、どちらか一方だけでは足りないものがあります。
小説を無料にするか有料にするかで迷っているときは、「今の自分はどのステージに重点を置くべきか」「この作品は、まずどのステージに立たせたいか」と考えてみてください。
そうすると、「とりあえず全部無料」「とりあえず全部有料」という極端な選び方ではなく、「最初の数話は無料」「本編は無料で、完全版を有料」など、アナタに合った組み合わせのヒントが見え始めます。
ここでしっかり整理しておくと、次の章で紹介する「どのサイトで公開するか」「どうKindle出版などで収益化していくか」といった具体的な選択も、ぐっとスムーズになりますよ。
Q 最初から有料販売を目指してはいけませんか?
A 決してダメではありませんが、最初はハードルが高いかもしれません。
まったく無名の状態から有料で読んでもらうには、強力な宣伝が必要になります。まずは無料公開で読者との接点をつくり、「この人の作品なら読みたい」と思ってくれる人を増やしてから、有料のステージへ進むほうが、結果的に無理なく進めることが多いです。
2 無料公開に向いている小説投稿サイトの特徴と選び方
小説を無料で公開する場所として代表的なのが、note、カクヨム、アルファポリス、小説家になろうなどの投稿サイトです。
それぞれ雰囲気や読者層、システムが少しずつ違うので、「どこに置けば一番読まれやすいか」「自分が書きやすい空気かどうか」を意識して選ぶと、アナタの小説が読者に届く確率がぐっと上がります。
ここでは、主要なサイトの特徴を、アナタに話しかける形で整理していきます。
・note
・短編小説、エッセイ、創作の裏話などと相性が良い場所です。
文章量がそれほど多くなくても読んでもらいやすく、「ふとスマホで開いて、さらっと読める読み物」が好まれます。気軽に投稿できるので、「まずは世の中に出してみる」最初の一歩にも向いています。
・一部を無料、続きや特典を有料記事にする仕組みがあります。
本編の冒頭は無料で読んでもらい、続きや詳しい解説、書き下ろし短編などを有料部分に置くことで、「試し読み→購入」の流れを作りやすくなります。
・XなどのSNSとの連携がしやすく、拡散も期待できます。
更新した記事をひと言コメントと一緒にシェアできるので、フォロワーから新しい読者へと波紋のように広がっていくきっかけが生まれます。「この人の文章、ちょっと好きかも」と思ってもらう入り口としても役立ちます。
・カクヨム
・ライトノベル系、Web小説スタイルの長編と相性が良いサイトです。
会話多めのテンポの良い文章や、章ごとに区切られた連載形式に慣れている読者が多く、「次の話を待ちながら追いかけてくれる」読み方をしてもらいやすい場です。
・ランキングやおすすめ枠から、偶然の読者と出会いやすい仕組みがあります。
定期的に更新していると、ランキングやピックアップに載る可能性が少しずつ高まり、「たまたま見かけて読み始めたらハマった」という読者との出会いが生まれます。
・収益化プログラムが用意されている場合があり、条件を満たすと広告収入などが発生することもあります。
無料で公開していても、多くの読者に読まれるようになれば、小さな報酬が積み上がっていく可能性がある、という安心感にもつながります。
・アルファポリス
・ファンタジー、恋愛、ライトノベル寄りの作品が集まりやすい場所です。
そういったジャンルが好きな読者が多く、「この系統の小説を探したい」という人がめがけてやって来るサイトだとイメージすると分かりやすいです。
・ランキングや特集に取り上げられると、一気に読者数が増える可能性があります。
「人気作品」として目に触れる機会が増えると、普段アナタの存在を知らない読者にも届きやすくなり、ブックマークや感想が一気に増えることもあります。
・書籍化などの実績もあるため、将来的に商業出版を視野に入れている人にとって、モチベーションの上がる環境になりやすいです。
・小説家になろう
・Web小説文化を語るときに必ず名前が挙がる、大きな投稿サイトです。
長編連載を読み慣れている読者が多く、「毎日のように更新をチェックする」のが生活の一部になっている人も少なくありません。連載ペースをコツコツ続けることで、少しずつ読者がついていきます。
・書籍化・コミカライズなどの事例が豊富です。
ランキング上位や話題作になると、出版社の目に留まることもあり、「本屋に自分の作品が並ぶ可能性がゼロではない」という夢を見られる場でもあります。
・ジャンル別ランキングや詳細なキーワード検索を通じて、好みの近い読者に届きやすい導線が整っています。
タグやあらすじを工夫すると、「まさにこのタイプを探していた読者」に見つけてもらえる確率が上がります。
いろいろなサイトの特徴を眺めていると、「どこに投稿するのが正解だろう」と迷ってしまうかもしれません。
でも、最初から完璧な選び方をしようとしなくて大丈夫です。アナタの小説が好きになってもらえそうな場所を1〜2個選んで、実際に投稿してみることで、はじめて分かる感触もたくさんあります。
「このサイトは読者の反応が多い」「このサイトは自分のペースに合う」など、やってみないと見えない部分を、少しずつ確かめていきましょう。
Q どのサイトに投稿すれば良いですか?
A どれか一つに決めて縛られる必要はありません。
最初は、自分のジャンルと相性が良さそうなサイトを1〜2つ選んで投稿し、反応を見ながら、今後増やすかどうかを決めていくのがおすすめです。
複数サイトで同じ内容を公開する場合は、それぞれのサービスの規約をよく読んで、問題がないか確認してから進めてください。
3 小説の無料公開の目的と、Kindle出版につなげるための工夫
小説を無料で公開するとき、どうしても「読まれた数」や「ブックマークの数」ばかりが気になってしまいます。
しかし、無料公開の本当の役割は、単に数字を伸ばすことだけではありません。
アナタの作品に合う読者を見つけたり、「どんな書き方が響きやすいのか」を知ったりするための、大事な実験の時間でもあります。
・無料公開の主な目的
・読者に作品の存在を知ってもらう。
まずは「ここにこんな小説があるよ」と、読者の目に触れてもらうところから始まります。検索結果やランキング、SNSなどで見かけた人が、「どんな作品だろう」と興味を持ってページを開いてくれる状態を目指します。
・作品の手触りを試してもらう。
文章のリズムやキャラクターの雰囲気が自分に合うかどうかは、少し読んでみないと分かりません。無料公開は、読者が「試し読み」をしながら、自分に合うかどうかを確かめられる場になってくれます。
・どのジャンルやキャラクターが好まれやすいかを分析する。
複数の作品や短編を公開していくと、「このジャンルは反応が良い」「このキャラクターが登場する話は読まれやすい」など、数字や感想の違いから傾向が見えてきます。アナタの強みを探すヒントにもなります。
・継続するための工夫
・「○ヶ月は続ける」と期間目標を決める。
反応が少ないとき、「向いていないのかもしれない」と感じてしまう瞬間があります。それでも、最初から結果を求めすぎると、芽が出る前に水やりをやめてしまうようなものです。「まずは3ヶ月」「まずは1作品完結まで」など、自分なりの目安を決めておくと、心が折れにくくなります。
・更新頻度を無理のないペースに設定する(例 週1回、月2回など)。
最初から「毎日更新」を目指すと、生活や体力とのバランスが崩れてしまうこともあります。アナタが無理なく続けられるペースで、「このリズムならやっていけそう」と感じる更新頻度を見つけてください。続けられるペースが、いちばん強いペースです。
・反応が少なくても、数字だけで自分を責めすぎないようにする。
読者ゼロ、感想ゼロの時期は、多くの人が経験します。数字は状況を教えてくれるサインではありますが、アナタの価値そのものを決めるものではありません。「今は準備運動の期間」と受け止めることで、少し気持ちが軽くなります。
・心が折れそうなときの考え方
・「今は種まき中」と自分に言い聞かせる。
地面にまいた種は、すぐには芽を出しません。それでも、土の中では少しずつ変化が起きています。無料公開のあいだも、アナタの文章力や構成力は確実に鍛えられています。
・過去に書いた中で、自分が気に入っているシーンや文章を読み返す。
「ここ、結構いいじゃないか」と感じられる部分は、アナタの強みが表れている場所です。自分の良さを思い出すことで、また前を向くきっかけになります。
・同じジャンルの人気作品を参考にして、「タイトル」「あらすじ」「序盤の見せ方」などを観察する。
真似をするというより、「読者はこういうところで興味を持つんだな」と学ぶイメージです。気づいたことを少しずつ自分の作品にも取り入れてみてください。
無料公開の時期は、目に見える成果が少なくて、不安になりやすい時間でもあります。
それでも、この時期に得た気づきや経験は、必ず後からアナタの武器になってくれます。
「今は読者と出会う準備をしているんだ」と思いながら、自分のペースでページを重ねていきましょう。
Q 無料で公開しても、まったく反応がない場合はどうすれば良いですか?
A 反応が薄いときは、「作品がダメ」と決めつける前に、以下の点を見直してみてください。
・タイトルが内容や魅力を伝えられているか
・あらすじで読者の興味を引けているか
・ジャンルタグやキーワードが適切か
・表紙画像やサムネイルで目に留まりやすくなっているか
小さな変更でも、印象が変わるケースは少なくありません。
4 無料公開でも収益化のチャンス!有料販売との組み合わせ方法
無料公開と聞くと、「お金にはならない」「ただ配っているだけ」という印象を持つ人も多いですが、実際には、無料の段階から少しずつ収益の芽を育てていけます。
もちろん、いきなり大きな金額になるわけではありませんが、「読まれること」と「収入がまったくゼロではないこと」が同時に進んでいくと、心の安定感も違ってきます。
ここでは、無料公開と相性の良い収益化の仕組みや、一部有料の構成の考え方を、アナタと一緒に整理していきます。
・収益化の仕組みの例
・カクヨムなどの広告収益プログラム。
一定の条件を満たすと、作品ページに表示される広告から報酬が発生する仕組みがあります。たとえば、アクセス数や作品数などの条件をクリアすると対象になり、読まれれば読まれるほど、ポイントのように少しずつ報酬がたまっていきます。
大きな額ではなくても、「読まれていることが数字としても見える」ということは、創作を続けるうえで大きな支えになります。
・投げ銭、サポート機能、クリエイター支援機能。
読者が「ありがとう」の気持ちで、任意の金額を送れる仕組みを用意しているサービスもあります。
たとえば、特に印象に残った回を読んだあとに、「この話、すごく良かったから応援したい」と感じた読者が、ジュース1本分やランチ代くらいの金額をそっと送ってくれることもあります。
・noteの有料記事・有料マガジン。
一つの記事の中で、前半は無料、後半は有料という形もあれば、「本編シリーズは無料」「特典や裏話をまとめたマガジンは有料」という構成もできます。
これにより、「まず無料で試してもらい、気に入った読者にはもう一歩踏み込んだ内容を提案する」という流れを作れます。
・一部無料・一部有料の構成例
・第1話〜数話を無料、続きは有料。
物語の入り口となる部分を無料にして、世界観やキャラクターに親しみを持ってもらい、その先のクライマックスや結末へ進みたい読者には有料部分に進んでもらうパターンです。
「続きが気になる」「結末まで一気に読みたい」という気持ちが高まったときに、有料版がそっと用意されているイメージです。
・本編は無料、詳しい設定資料や裏話を有料。
本編のストーリー自体は無料で読めるようにしつつ、「キャラクターの裏設定」「没シーン集」「世界観の地図」などを、有料の別コンテンツとしてまとめる方法です。
設定や裏話が大好きな読者にとっては、「もっと深く知れる」というごほうびのような存在になり、同時にアナタの収入源にもなります。
・短編は無料、長編の総集編や加筆版を有料。
まずは短編を無料でいくつか公開し、「この作者の文体、好きかも」と感じてもらったうえで、それらをまとめた長編版や、加筆・修正を加えた完全版を有料で提供するパターンです。
無料で配信していたものが、より読みやすく整理され、新しいエピソードも加わった一冊として手に入ると、「保存版として持ちたい」と感じる読者も出てきます。
・収益を意識するうえでの心構え
・「お金をもらうのは申し訳ない」と感じる気持ちが出てきても、その作品に時間と力を注いだアナタには、報酬を受け取る権利がある、と優しく言い聞かせてみてください。
読者も、「心から楽しめた」「何度も読み返した」という作品に対しては、「少しでも作者を支えたい」と思うことがあります。その気持ちを受け取るのは、決して悪いことではありません。
・無料と有料をうまく組み合わせることで、「まずは気軽に」「気に入ったら応援」という自然な流れを作れます。
最初から全てを有料にするのではなく、「入り口は広く、その先でしっかり価値を届ける」という考え方が、アナタにも読者にも優しい形です。
・最初から大きな金額を目指すより、「コーヒー一杯分でも収益がある」状態を作ることが、長く続けるための心の支えになりやすいです。
月に数百円、数千円であっても、「自分の小説からお金が生まれた」という事実は、次の作品を書く力につながっていきます。
無料公開の段階は、「まだ有料作品を持っていないから意味がない時期」ではありません。
読者との出会いを広げながら、小さな収益の流れを意識して育てていく、とても大事な準備期間です。
アナタの小説を読んで、「楽しかった」「救われた」と密かに感じている読者は、きっといます。その人たちが、いつかアナタの有料作品を手に取ってくれるかもしれない、と想像しながら、無料と有料のバランスを少しずつ整えていきましょう。
Q まだファンがいないのに、有料設定をしても大丈夫ですか?
A 大丈夫です。最初から有料部分を用意しておくことで、「この作者はプロ意識を持って書いている」という姿勢が伝わることもあります。
また、もし購入されなくても、無料部分で読んでもらえるなら「知ってもらう」という目的は達成できています。
「いつか応援したいと思ってくれる人が現れたときのための受け皿」として、そっと有料ボタンやサポート機能を置いておくのは、とても前向きな準備です。
5 無料からKDPなどの有料販売へ進むための段階的なステップ
いきなり高い価格の有料商品を出すよりも、「少しずつ段階を上げていく」意識を持つと、アナタも読者も楽になります。
無料で読んでくれている人との信頼を大切にしながら、「この作者の作品ならお金を払っても読んでみたい」と思ってもらう道を、ゆっくり整えていきましょう。
・段階イメージの一例
・第1段階 無料公開+投げ銭やサポート機能。
まずは、小説投稿サイトやnoteなどで、無料で読める作品を用意します。そのうえで、「良かったらサポートしてください」「お礼の気持ちを投げ銭で」という、小さな応援の入り口をつくります。
ここでは、「お金をもらう」こと自体よりも、「応援したいと思ってくれる読者がいる」という事実を体感することが大切です。
・第2段階 短めの有料記事や有料短編集。
次に、ワンコイン程度の価格で買える短い有料コンテンツを用意します。たとえば、書き下ろし短編や、本編では描かなかったサイドストーリー、創作の裏話をまとめたミニ本などです。
「高価な商品」ではなく、「このくらいなら試してみてもいいかな」と感じる価格帯を意識すると、読者も手を伸ばしやすくなります。
・第3段階 KDPやBOOTHなどでの長編有料販売。
最後に、1冊として読める長編や、まとまったボリュームの作品を、電子書籍や同人誌として販売します。ここでは、「読み応え」と「満足感」をしっかり意識しながら構成や加筆を行うイメージです。
この段階まで来ると、「一冊の本を出した作者」としての実感も強くなり、次の作品への意欲も高まりやすくなります。
・それぞれの段階で意識したい点
・無料の段階 とにかく知ってもらい、好みが合う読者を見つける。
この段階では、「収益」よりも「出会い」を意識することが大切です。作品数を増やしつつ、自分の得意なジャンルや読者の反応が良いパターンを探していきます。
・小さな有料の段階 「この人の作品なら、お金を払っても読んでみたい」と感じてもらう練習。
初めて有料作品を買ってくれた読者には、「買って良かった」と思ってもらえるように、内容の密度や読みやすさ、ちょっとした特典などを丁寧に整えます。
ここでの経験が、「自分の書いたものに値段をつける感覚」を育ててくれます。
・長編有料の段階 シリーズ全体や世界観を整理し、「一本の作品」として整える。
長編では、プロローグからエンディングまでの流れや、キャラクターの変化、テーマの通り方などを意識して見直します。読み終えた読者に、「この作品に時間とお金を使って良かった」と感じてもらえるように、構成を磨いていきます。
・段階を進めるときの心の準備
・「まだ早いかもしれない」と迷っていても、少しでも気になっているなら、一度小さめのチャレンジをしてみる価値があります。
失敗しても、「こうすれば良かった」という学びが残り、次の挑戦が具体的になります。
・思ったほど売れなかったとしても、「有料に出してみた」という経験そのものが、大きな一歩です。
売上だけで自分を評価せず、「有料化まで持っていけた自分」を認めてあげてください。
・段階を一つ進めるたびに、自分の成長を振り返る時間を短くても取ると、モチベーションが安定しやすくなります。
少しずつ段階を上げていくことで、アナタ自身の心の準備も整い、読者の側も自然な流れで有料作品に進めます。
「完璧なタイミング」を探すより、「今の自分でもできそうな小さな一歩」を積み重ねていくことが、結果的にいちばんの近道になります。
Q 段階を飛ばして、いきなり長編有料にしても大丈夫ですか?
A 不可能ではありませんが、読者にとってはハードルが高くなります。
無料のサンプルや短めの有料作品から始めたほうが、「この作者の文体や雰囲気が自分に合うか」を判断しやすくなり、結果的にファンとして長く付き合ってくれる読者が増える傾向があります。
どうしても長編から出したい場合でも、試し読みできる部分を多めに用意したり、プロローグや短編版を別に無料公開したりして、「お試し」の入口をつくる工夫がおすすめです。
6 Amazon KDP(Kindle出版)で小説を電子書籍化して販売するメリットと注意点
KDP(Kindleダイレクト・パブリッシング)は、個人でも電子書籍を出しやすい仕組みです。
Web小説として公開していた作品を加筆・修正し、1冊の電子書籍としてまとめる流れは、多くの小説書きが実際に使っている方法です。
ここでは、「KDPを使うとどんないいことがあるのか」と「気をつけたいポイント」を、アナタ目線でていねいに整理していきます。
・KDPのメリット
・初期費用をかけずに出版に挑戦しやすいです。
紙の本のように印刷費や在庫を気にする必要がなく、「とりあえず一冊出してみる」というチャレンジがしやすくなります。
学校や仕事の合間に少しずつ準備して、「自分の本がストアに並ぶ」体験を目指せるのは、大きな魅力です。
・読み放題サービス(Kindle Unlimited)からも読者に出会える仕組みがあります。
買い切りでお金を払ってもらうだけでなく、「読み放題プランでなんとなく手に取った」という読者に作品を知ってもらえる可能性も広がります。
いきなり購入ハードルが高い読者にも、「ちょっと読んでみるきっかけ」が生まれるのは、作者にとって心強いポイントです。
・「一冊の本」という形にまとめることで、実績として扱いやすくなります。
プロフィールや紹介文に「○○という本を出しています」と書けるようになり、創作仲間や仕事関係の場で、自信を持って自分の活動を語りやすくなります。
自分の端末に並んだ「著者としての自分の本」を眺めると、きっと小さな誇りも湧いてきます。
・販売価格の35%または70%という「ロイヤリティ」が得られます。
紙の本の印税は一般的に10%程度と言われていますが、KDPの場合は「ロイヤリティ」という名前で、販売価格の最大70%(条件あり)を受け取れます。これは作者にとって非常に大きな励みになります。
・注意したい点
・電子書籍にはISBN(図書コード)が付かないのが一般的です。
KDPで電子書籍を出す場合、通常ISBNは付きません。ただし、KDPでペーパーバック(紙の本)を出版する場合は、無料でISBNを取得できる仕組みがあります。
・特定のプラン(KDPセレクトなど)に登録すると、電子版については特定ストアでの独占配信が条件になる場合があります。
他の電子書籍ストアや、自作のサイト、別サービスで同じ本を販売したい場合、選ぶプランによっては制約が出ることがあるため、事前に条件をよく確認する必要があります。
・一度公開したタイトル・著者名などは、大きな変更が難しくなるケースがあります。
あとから「やっぱり全然違うタイトルにしたい」「ペンネームを変えたい」と思っても、簡単には変えられない場合もあるので、最初にじっくり考えて決めることが大切です。
・他サイトで全文無料公開している作品を、そのまま有料にするときは、読者への説明や内容の差別化が必要です。
無料で読んでいた読者からすると、「なぜ有料なのか」「どこが変わったのか」が見えないと、戸惑いや不満につながることがあります。
・KDPを検討するときのポイント
・電子書籍としてまとめたい作品はどれか。
長編の完結作品か、短編集か、あるいはテーマ別にまとめた作品集か、アナタの中で「本にしたい」と感じる原稿を選びます。
・加筆や修正、書き下ろしをどれくらい行うか。
誤字脱字の修正だけにするのか、大幅に書き直して「完全版」にするのか、読者にどう見せたいかを考えながら決めていきます。
・シリーズとして今後も増やしていくのか、一冊完結にするのか。
「第1巻」として出すのか、「この一冊で完結」の形にするのかで、タイトルや表紙の印象も変わってきます。
KDPは、アナタの小説を「ちゃんとした一冊の本」として世に送り出すための、強力な選択肢のひとつです。
少し準備に時間はかかりますが、そのぶん「自分の本が並んでいる光景」を見たときの喜びは、とても大きなものになります。
無料公開で育てた作品を、「電子書籍の形で読者に手渡す」というイメージを持ちながら、アナタのペースで一歩ずつ準備を進めてみてください。
(参考:KDPヘルプ https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help)
Q Webで無料公開している作品を、有料の電子書籍にしてもいいですか?
A 規約上問題がなければ可能ですが、読者の気持ちを考えた工夫が必要になります。
そのまま同じ内容を有料にするよりも、加筆や修正を加えて「完全版」として出したり、書き下ろしのエピソードやあとがき、登場人物の解説などを追加したりすることで、「お金を払う理由」が分かりやすくなります。
「無料版を読んでくれてありがとう。もっと深く楽しみたい人には、こういう形の有料版も用意しました」と、読者への感謝と説明をセットで伝えるつもりで考えると、アナタも読者も前向きな気持ちで電子書籍を迎えやすくなります。
7 BOOTHなどの同人系サービスでPDFやグッズを展開する方法
BOOTHなどの同人系プラットフォームは、PDF小説や同人誌、特典付きセットなどを販売しやすい場所です。
KDPが「電子書籍ストア」として多くの読者に広く届ける場だとしたら、BOOTHは「創作者のちいさな通販スペース」として、濃いファンとじっくりつながる場というイメージです。
アナタの小説を好きになってくれた読者に、「もっと深く楽しめるもの」を届ける場所として考えると、BOOTHの役割がわかりやすくなります。
・BOOTHの活用例
・PDF版小説+おまけSS+設定資料集のセット販売。
本編をじっくり読みたい読者も、裏話や細かな設定が気になる読者も、一度に楽しめる形です。「ここだけで手に入るおまけ」があると、読者にとって特別な一冊になりやすくなります。
・本編はKDPで、BOOTHでは限定の短編集やグッズを販売。
メインの長編はKindleで読んでもらい、「もっと応援したい」「小物も欲しい」と感じてくれた読者に向けて、BOOTHで限定の短編集やしおり、イラストカードなどを用意するイメージです。
・オフラインイベントと連動した通販窓口として使う。
同人イベントや即売会に参加したあと、「会場に行けなかったけれど欲しい」という読者のために、BOOTHを通販の入り口として案内するケースもあります。
・KDPとBOOTHを組み合わせる考え方
・KDPは「本編・基本版」を広く届ける場所。
検索やランキング、読み放題サービスなどを通して、「まだアナタを知らない読者」と出会うのに適しています。アナタの名前を初めて知る読者の入り口です。
・BOOTHは「特典・限定版」を届ける場所。
すでにアナタの作品を気に入ってくれている読者が、「もっと深く触れたい」「何か記念になるものがほしい」と思ったときにたどり着く、ちょっと親密なスペースです。
・無料投稿サイトは「まず試してもらう」ための入口。
noteやカクヨムなどで無料公開し、そこで作品と出会ってもらった読者を、KDPやBOOTHへと案内していく流れを作ることで、少しずつ読者との距離が縮まっていきます。
・BOOTHを使うときに意識したいこと
・送料や発送作業の負担をどうするか。
紙の本やグッズを扱う場合は、「いつ発送するか」「どれくらい在庫を持つか」を考える必要があります。無理のない範囲で始めることが、長く続けるコツです。
・データ販売にするか、紙の本にするか。
PDFなどのデータ販売なら在庫を抱える必要がなく、発送作業も不要です。一方で、紙の本やグッズは「手元に残るうれしさ」があり、ファンの満足度が高くなりやすい面もあります。
・在庫を抱えない形で運用したいかどうか。
初めのうちは、受注生産や少部数印刷、データ販売など、「在庫を持たない形」から試してみると、負担をかけずに感覚をつかみやすくなります。
BOOTHは、「大勢に向けて広く届ける場所」というより、「アナタの作品をすでに好きでいてくれる読者」と、少し近い距離でやりとりする場所です。
KDPや無料投稿サイトと組み合わせることで、「まず知ってもらう」「本編を読んでもらう」「特典でより楽しんでもらう」という流れを立体的に作れるようになります。
アナタが「この読者たちには、もう一歩踏み込んだ特別なものを届けたい」と感じたとき、BOOTHという選択肢を思い出してあげてください。
(参考:BOOTH https://booth.pm/ja)
Q KDPとBOOTHのどちらを先に始めるのが良いですか?
A どちらが正解というより、「どんな読者に、どんな形で届けたいか」で決めるのが良いです。
まだ広く読者を増やしたい段階なら、まずKDPで本編を出し、「著書」としての軸を作る方法があります。
すでに無料サイトなどで固定の読者がいて、「限定の短編セットやグッズがほしい」という声がありそうなら、BOOTHから先に始めてみるのも良い選択です。
アナタの今の状況と気持ちに合わせて、「今いちばん動きやすいほう」から挑戦してみてください。
8 プラットフォームごとの規約・著作権など、個人出版で注意すべき権利関係
複数の場所で小説を公開・販売するときは、各プラットフォームごとのルールと、著作権まわりの決まりをきちんと確認しておく必要があります。
少し面倒に感じる部分ですが、ここをおさえておくと、後からトラブルに悩まされず、安心して創作に集中しやすくなります。アナタの小説を守る、大事な防具だと思って読んでみてください。
・確認しておきたいポイント
・同じ作品を複数のサービスで配信しても問題ないか。
たとえば「投稿サイトで無料公開しつつ、電子書籍として有料販売する」場合、サービスによっては制限があることがあります。何となくで動かず、利用規約を一度は目で追っておくと安心です。
・有料販売と無料公開を併用して良いか。
「一部無料」「全文無料と有料版の併存」などは、とくにルールが分かれやすいところです。同じ作品をどう扱ってよいか、サイトごとの方針を確認しておきましょう。
・イラストや表紙素材の商用利用の可否。
フリー素材や有料素材を使うときも、「商用利用OKか」「クレジット表記が必要か」「改変はどこまで許されるか」などが決められています。ここをあいまいにすると、あとで指摘を受ける可能性があります。
・ペンネーム・著者名の扱い。
複数の名前を使いたい場合や、途中でペンネームを変えたくなる可能性がある場合は、そのあたりの取り扱いも事前にチェックしておくと、後悔が少なくなります。
・権利まわりの基本的な意識
・画像やイラストを使う場合は、必ず利用規約を読み、条件を守る。
「みんな使っているから大丈夫そう」と感じても、実際には細かな条件があるケースが多いです。あとから不安にならないように、使う前に一度は規約を読んでおきましょう。
・他人の作品や設定を無断で流用しない(二次創作の扱い)。
二次創作(ファンフィクション)については、「黙認されているから大丈夫」と誤解されがちですが、これは「権利者がたまたま見逃してくれているだけ」であって、法的に許可されているわけではありません。
公式が明確にガイドラインを出している場合を除き、無断で有料販売することは非常にリスクが高い行為です。オリジナルの創作以外は、とくに慎重になる必要があります。
・共著・合同誌などの場合は、事前に権利の取り決めをしておく。
「後でわかるだろう」と放っておくと、「このキャラクターはどちらのものか」「電子版の売上はどう分けるか」などで揉めることがあります。先に話し合ってメモを残しておくだけでも安心感が違います。
・不安や疑問が出てきたときの対処
・公式のヘルプやガイドラインを読み直す。
困ったときは、まずそのサービスのヘルプページやQ&Aを見に行くのがおすすめです。意外と、自分が抱えた疑問と同じケースが、すでに説明されていることも多いです。
・似たケースを経験した人の情報を探してみる。
ネット上の記事や、同じサービスを使っている作者の発信から、実際の運用例や注意点が見えてくる場合もあります。ただし、最終的には公式情報を優先してください。
・どうしても不明な場合は、「リスクがありそうなやり方は避ける」という選択を取る。
迷ったときは、「安全側」に倒しておくと、あとで大きなトラブルになりにくいです。少し慎重すぎるかなと思うくらいでちょうど良い場面もあります。
規約や権利の確認は、ストーリーを考える作業に比べると、どうしても退屈に感じるかもしれません。
それでも、ここをていねいに押さえておけば、「このやり方で本当に大丈夫かな」と不安を抱えたまま進む必要がなくなります。
アナタの小説と、アナタ自身を守るための土台だと思って、一度しっかり身につけておきましょう。
(参考:文化庁 著作権Q&A https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/)
Q 規約やルールが難しくてよく分からないときはどうすればいいですか?
A 一人で悩まず、公式のヘルプページにある「よくある質問」を見てみてください。
それでも分からないときは、無理に自己判断せず、「確実な方法(たとえば、他のサイトには載せず一箇所だけで公開するなど)」を選ぶのが安全です。
また、創作仲間に聞いてみたり、解説しているブログを探してみたりするのも一つの手ですが、最後は必ず公式サイトの情報を確認するようにしましょう。
9 「いつ有料の電子書籍へ進んで良いか」の目安とタイミング
「ファンが増えたら有料販売へ」と言われても、その「増えた」の基準があいまいだと、いつ動けば良いのか分からなくなってしまいます。
慎重になりすぎて、ずっと無料のまま足踏みしてしまう人もいれば、急ぎすぎて「まだ準備ができていないのに有料にしてしまう」人もいます。
ここでは、アナタが自分で納得しながら一歩を踏み出すための、目安や考え方をゆっくり整理していきます。
・有料に進む目安の一例
・1作品あたりのブックマーク、お気に入り、フォローが一定数を超えている。
数字はすべてではありませんが、「この作者の更新を追いかけたい」と思っている読者がどれくらいいるのかを示すサインになります。
たとえば、今までの作品より明らかにブックマークが多い、シリーズものに対してフォローが増えている、といった変化が見えると、一つの判断材料になります。
・更新のたびにコメントや感想が届くようになってきた。
感想を書くのには時間と気持ちが必要です。「面白かった」「続きが楽しみ」といった言葉が増えてきたなら、作品への愛着が深まりつつある証拠と言えます。
・Xやブログなどで作品について言及する読者が現れている。
「この作品を読んだ」「このキャラクターが好き」と、自発的に紹介や感想を書いてくれる読者がいるとき、作品は単なる読み物から「誰かに勧めたくなる存在」に変わり始めています。
・「続きが読みたい」「まとめて読みたい」といった声が見られる。
更新コメントやメッセージ、匿名のアンケートなどで、こうした声が上がってきたなら、有料版や電子書籍版を用意しても前向きに受け止めてもらえる可能性が高いです。
・実際の動き方のイメージ
・目安を一つに決めつけず、「これとこれがそろってきたら挑戦してみる」という形で複数条件を用意しておく。
「フォロワー○人になったら」と一つの数字だけに縛られると、逆に身動きが取れなくなることがあります。
「ブックマークが前作より増えてきた」「感想が毎回つくようになった」など、いくつかのサインを組み合わせて、「そろそろかな」と判断できるようにしておくと、気持ちが楽になります。
・最初は小さな価格の有料商品から始め、読者の反応を見ながら徐々にステップアップする。
いきなり高めの価格で長編を出すのではなく、ワンコイン程度の短編や、書き下ろしSS集などから始めると、読者も「試してみようかな」と感じやすくなります。
・結果が思い通りでなくても、「挑戦した自分」を認める。
発売直後にほとんど売れなかったとしても、「有料で出してみた」という経験は確実に残ります。
どんなタイトルにしたか、どんな説明文にしたか、そのときの反応はどうだったか。すべてが次の一冊のための材料になっていきます。
・気持ちの揺れと付き合うヒント
・「まだ早いかな」と不安に感じても、その不安ごと抱えながら動くことも、立派な一歩です。
完璧なタイミングなど、実際にはなかなか訪れません。「今の自分なりに準備はした」と言えるなら、小さくでも動いてみる価値があります。
・「自分の作品に値段をつける」ことに抵抗があるときは、「読者の時間を守るために、しっかり責任を持って届ける」と考えてみてください。
お金をいただくのは、アナタが読者の時間や期待を真剣に受け止める覚悟の表れでもあります。
・うまくいかなかったときの自分を、あらかじめ責めすぎないと決めておく。
結果がどうであれ、「やってみた自分」「挑戦した自分」を、後からきちんとほめる約束をしておくと、心が少し軽くなります。
有料に進むタイミングは、誰かが「ここが正解」と決めてくれるものではありません。
だからこそ、アナタ自身が「このくらい反応があれば、一度やってみてもいいかもしれない」というラインを、自分の言葉で決めておくことが大切です。
そのラインをそっと胸に置きながら、一歩前に踏み出すか、もう少し準備を続けるかを、その都度選んでいきましょう。
どちらを選んでも、「自分で考えて決めた」という経験が、次の挑戦を支えてくれます。
Q 数字が目安に届かない場合は、有料販売をしてはいけないのですか?
A 数字は一つの参考ですが、絶対条件ではありません。
強く推したい作品があり、その世界をさらに深掘りした形で有料版を用意する場合などは、数字が少なくても出してみる価値があります。
ただし、その場合も「有料版で何が増えているのか」「無料版とどう違うのか」を、説明文や紹介文で読者に明確に伝えることが重要です。
「この価格で、ここまで読めるなら納得」と感じてもらえるように、内容と価格のバランスをていねいに考えてみてください。
10 読者とのつながりを育て、Kindle本を手に取ってもらうための工夫
無料か有料かにかかわらず、読者との関係を少しずつ育てていく意識がとても大切です。
一回きりで終わらず、「次の作品」「別のシリーズ」「新しい企画」にも興味を持ってもらえるような接点を増やしていくことで、小説活動そのものが安定していきます。
ここでは、読者との距離を少しずつ近づけていくための具体的な工夫を、一緒に整理してみましょう。
・読者との接点の作り方
・X、ブログ、メルマガなどで更新情報や創作の近況を発信する。
作品そのものだけではなく、「今どんな原稿を書いているのか」「どんなテーマに興味があるのか」といった近況を発信すると、アナタという存在そのものに親しみを感じてもらいやすくなります。
・作品の最後に、次の話や関連作品へのリンクを置く。
読み終わった「熱」が残っているうちに、次の作品や別シリーズに案内することで、「この人の他の作品も読んでみようかな」という気持ちを自然に後押しできます。
・簡単なアンケートや質問フォームを用意して、読者の声を聞く。
「どのキャラクターが好きか」「どのシーンが印象に残ったか」など、答えやすい質問を用意しておくと、読者も気軽に反応を返しやすくなります。
・読者の声の生かし方
・「どこが面白かったか」「どこで読む手が止まりそうだったか」を質問して、改善のヒントにする。
楽しかったポイントと、読みづらかったポイントの両方を知ることで、次の作品の構成や見せ方をより良く整えるヒントが得られます。
・好評だった要素を、次の作品にも少しずつ取り入れる。
「このキャラが好き」「このテンポが読みやすい」といった声を意識しながら書くことで、読者の期待に応えつつ、自分の表現も磨いていけます。
・全ての意見を鵜呑みにせず、自分が書きたい方向とのバランスを取る。
読者の声は大事な宝物ですが、全てをそのまま取り入れてしまうと、自分の軸が揺らいで苦しくなることもあります。「参考にするけれど、最終的には自分で選ぶ」という姿勢が心を守ってくれます。
・読者との距離感を心地よく保つために
・全てのコメントに完璧に対応しようとせず、自分のペースを守る。
感想やメッセージが増えてくると、「全部に返信しなければ」とプレッシャーを感じることがあります。無理のない範囲で、できるときに、できるだけで大丈夫です。
・否定的な意見に出会ったときは、一度距離を置いてから、冷静に受け止める。
読んですぐに落ち込んでしまいそうなときは、その日は意識して見ないようにするのも一つの方法です。時間をおいて読み直すと、感情ではなく情報として受け止めやすくなることもあります。
・「応援してくれている人も、きっとどこかにいる」と考え、支えてくれる声に目を向ける。
批判の言葉だけに意識が向くと、心がすり減ってしまいます。少しでも励ましのコメントや「好きです」という一言があれば、その声を大事に抱きしめてください。
読者とのつながりは、一気に大勢と築くものではなく、一人ひとりとの小さなやりとりの積み重ねで育っていきます。
アナタの小説を楽しんでくれた誰かが、次の作品を待ってくれているかもしれない、そんな姿を思い浮かべながら、自分のペースで少しずつ関係を温めていきましょう。
「読んでくれる人がいる」という実感は、創作を続ける力になり、やがてアナタと読者の双方にとって心地よい居場所になっていきます。
Q 全ての読者コメントに返事をする必要はありますか?
A 必ずしも全員に返事をする必要はありません。
もちろん、余裕があるなら返信することで交流が深まりますが、数が増えてくると創作の時間が削られてしまうこともあります。
「読んでもらえるだけで感謝」という気持ちを持ちつつ、無理のない範囲で反応したり、まとめてお礼を伝えたりするだけでも、気持ちは十分に伝わります。一番大切なのは、アナタが無理なく創作を続けられることです。
11 出版後の未来像と、小説以外にも広がるKindle電子書籍のジャンル例
ここまで、「無料公開から有料販売へ」の流れを見てきましたが、最後に、小説を電子書籍として出版したあとに、アナタの世界がどう変わっていくのかを一緒に思い描いてみましょう。
未来の姿が少しでも具体的に見えてくると、「ここまでやってみよう」という気持ちに、静かな力が宿ります。
・出版後に起こりやすい変化
・「自分のパソコンの中だけにある作品」から、「世界中の読者に届く可能性のある作品」に変わります。
電子書籍は、インターネットを通じて、日本だけでなく海外からも購入されることがあります。アナタが想像もしていなかった場所で、誰かが静かにページをめくっているかもしれません。
・「趣味で書いている人」から、「著書のある作者」として名乗りやすくなります。
プロフィールやSNSに、自分の本のタイトルを載せられるようになり、創作仲間や仕事の場でも「本を書いている人」として見られる機会が増えていきます。
・小さくても、継続的なロイヤリティ(収益)が発生する可能性が生まれます。
毎月の金額が大きくなくても、「自分の書いた文章からお金が生まれる」という実感は、創作を続けるための心強い支えになります。
・出版がもたらす心の変化
・「自分なんてまだまだだ」と感じていた気持ちが、「完璧ではないけれど、一冊きちんと出せた」という自信に少しずつ変わっていきます。
本を出した経験は、一度手に入れたら消えません。その事実そのものが、アナタの中の支えになります。
・読者からの感想やレビューが、次の作品を生み出す原動力になります。
「ここが良かった」「このキャラが好き」といった声はもちろん、「ここは読みづらかった」という指摘も、次の作品をより良くするためのヒントになっていきます。
・「次はこんなテーマで書いてみたい」という新しい構想が、自然と浮かびやすくなります。
一冊目を出したことで、「二冊目」「三冊目」が、少しだけ身近な目標として感じられるようになります。
・電子書籍にはどんなジャンルがあるか(身近なテーマ例)
・小説・ライトノベル・短編集。
異世界ファンタジー、学園もの、ミステリー、恋愛、ホラー、SFなど、物語のジャンルはとても幅広いです。アナタが普段よく読んでいるタイプの小説を、自分なりの切り口で形にしていけます。
・ビジネス書・自己啓発・働き方。
仕事で身につけた経験や工夫、時間管理や思考法などをまとめた本も、多くの人に求められています。小説とは別に、アナタの得意分野を生かす場にもなります。
・実用書(家事、節約、健康、料理、ハンドメイドなど)。
「毎日の献立を楽にするコツ」「無理なく続けられる節約」「初心者向けハンドメイド」など、日々の暮らしに役立つテーマは、とても身近で書きやすい分野です。
・趣味系(鉄道、ゲーム、ガジェット、アウトドアなど)。
鉄道が好きなら地方路線を舞台にした連作短編、ゲームが好きならゲーム好きな登場人物たちの日常小説、ガジェットが好きなら「創作に役立つガジェット紹介」といった形で、「小説」と「趣味」を組み合わせられます。
・エッセイ・体験談・コラム。
日常の中で心に残った出来事や、それを通じて感じたことを丁寧に言葉にしていくスタイルです。小説の合間に書きやすく、アナタの考え方や価値観に共感してくれる読者とつながりやすくなります。
・学習書・技術書(プログラミング、デザイン、語学など)。
得意なスキルを、初心者にもわかりやすく説明する形でまとめる方法です。「小説のプロットの作り方」「キャラクターの考え方」といった創作ノウハウも、このジャンルに近い内容として出せます。
・小説を書いているアナタへの一言
・小説を中心に活動したい人でも、エッセイや創作ノウハウ、キャラクター設定集など、周辺ジャンルに広げていけます。
・「物語しか書けない」と決めつけずに、「自分の好きなもの・得意なこと」を少し横に広げて考えてみると、新しい本の種が見つかることがあります。
・最初は小説から始めて、次に創作エッセイやちいさな実用書へと広げていく流れも、一つの楽しいステップです。
出版の先には、「著書を持つ作者になる」「自分の好きな分野で複数の本を出していく」「小さな収入源や活動の柱が増える」といった未来が待っています。
今感じている不安や迷いも、その未来へ向かう途中の大切なプロセスです。
アナタの書いた一冊が、誰かの心にそっと寄り添い、静かな変化を起こすかもしれません。
その可能性を信じながら、自分のペースで少しずつ前に進んでいってください。
Q 小説以外にも、エッセイやノウハウを電子書籍にしてもいいですか?
A もちろんです。むしろ、小説を書いているアナタだからこそ書ける「創作論」や「エッセイ」は、同じ悩みを持つ人にとって貴重な情報になります。
ジャンルを一つに絞る必要はありません。アナタの中にある「書きたいこと」や「伝えたいこと」を、自由な形で電子書籍にしてみてください。
意外とカンタン♬電子書籍の出版「難しいと思ってたんでしょ!そんなコトないですヨ☺」その860~KDP(Kindle出版)、note、BOOTHどれがおすすめ?初心者が迷う電子書籍プラットフォームの選び方と注意点〜
おわりに
ここまで読み進めてくれたアナタは、もう「無料公開と有料販売のどちらが正解か」で悩むだけの段階から、「どう組み合わせれば、自分と読者の両方がうれしい形になるか」を考えられるところまで来ています。
小説を無料で読んでもらう段階、KDPなどで有料販売してしっかり届ける段階、そのどちらもが、アナタの作品を広げるための大事なプロセスです。
・無料公開は、アナタの小説をまだ知らない読者と出会うための入り口になります。
タイトルやあらすじ、少しの本文を通して、「この作品、ちょっと気になるな」と思ってもらえたら、それだけでも大きな一歩です。
・有料販売(電子書籍)は、「もっと読みたい」「応援したい」と感じてくれた読者の気持ちを、きちんと受け取る場になります。
アナタの作品にお金を払ってくれる読者は、そのぶん真剣に読んでくれますし、感想やレビューという形で、次の一歩を支えてくれます。
・無料と有料を段階的に組み合わせることで、「読まれないまま終わる不安」や「有料に踏み出す怖さ」を少しずつやわらげていけます。
最初は小さな試みでも構いません。一つ一つの挑戦が、確実にアナタの経験として積み上がっていきます。
アナタの小説は、机の中やパソコンのフォルダにしまっておくだけでは、とてももったいない存在です。
無料投稿サイト、Kindle、BOOTHなど、使える場所を少しずつ試しながら、「自分に合った発表のしかた」を一緒に探していきましょう。
うまくいかない日や、数字が伸びない時期があっても、その悩みや迷いごと、アナタはすでに「書き続けている人」の側に立っています。
このガイドの中で、心に残った一行や、試してみたい一歩があれば、それがアナタの次のスタートラインです。
完璧な準備が整ってからではなく、「今できる範囲」で少しずつ動いていけば大丈夫。
アナタの小説が、画面の向こうでそっとページをめくる誰かの心に届く日を、心から願っています。
そして、その日へ向かうアナタの歩みを、いつでも応援しています。
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